めいわくな裏話1

 シナリオ担当の加納です。


 シナリオ担当とはどういう仕事かというと、役者陣に読んでもらう台本を書き、ユーザーの皆さんから、「こんなバカなこと書くライターはよっぽどバカだろ」と思われたり、実際に言われたりし、
「そのバカ部分はプロデューサーがどうしても入れろと言った部分なのに......」
 と釈然としない気分になる、そういう仕事のことです。

 

 さて、前のエントリで、そのプロデューサーことダダPが言っていましたが、今回の「白雪姫」、場合によっては「ヘンゼルとグレーテル」になる可能性がありました。

 

 白雪姫にするか、ヘンゼルとグレーテルにするか、さんざん迷ったあげく、とうとう打ち合わせでは決めることができずに、
「とにかく両方のアイデアで書き始めてみて、うまく書けたほうを採用しよう」
 とかいって、結局加納に一任されたんじゃなかったかな?

 

 どうして、「ヘンゼルとグレーテル」ではうまくいかなかったかというと、それは、
「声優2人だけで全部を演じる」
 という、シリーズ全体の縛りのためでした。
 白雪姫みたいに、ドワーフが7人出てくるお話も、2人でやる。マッチ売りの少女みたいに、マッチ売りの少女しか出てこないお話も、2人でやる。

 

「ヘンゼルとグレーテル」に登場するのは、ヘンゼル、グレーテル、魔女の3人。
 この人数が、中途半端だったのですね。
 声優2人で、3人の役を分け合うとなると、どっちかが1役を担当し、どっちかが1人2役。
 1人2役の組み合わせは、「ヘンゼル&グレーテル」か「グレーテル&魔女」か「ヘンゼル&魔女」。
 どの組み合わせでも、いまひとつ、おもしろみにつながらない感じがしたのです。
 どうせ、1人2役をやってもらうなら、そのこと自体がネタになっててほしい。
 人数的にムリな物語を、ムリヤリ2人だけで演じる、というのが基本的な企画趣旨なのです。だったら、あからさまにムリな配役にしたほうがいい。

 

 たとえば、7人のドワーフを、全部ひとりの人に演じてもらうとか。

 

 今回、1人9役を演じることになった伊藤静さんは、台本を受け取って中身を見たとき、
「え? これ何かの間違いですよね?」
 と言ったそうです。

 

 何かの間違いのようなシナリオを演じてくださって、ありがとうございましたぁー。


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