めいわくな裏話2・伊藤静さん編

(前回の続き)

 そんなわけで、「世界めいわく劇場」の「めいわく」とは、声優さんにハタめいわくな芝居を要求する、という、ろくでもない意味も、ちょっとだけあったりします。
 実は企画段階のシリーズタイトルは「無茶振り童話(仮)」でした。

 

 さあ、今回は、誰にどんなめいわくをこうむっていただこうかな、と考えた結果、伊藤静さんに、7人の小人ならぬ7人の美少女を、ひとりで演じていただくことにしました。
 伊藤さんには白雪姫も演じていただきますので、なんと総勢8人のジサクジエーン劇です。

 

 といっても、7人の美少女は、ひとりひとりがそう重要なキャラというわけでもないので、書き手としては、
「大勢の女の子がよってたかっていっぱい喋ってる、くらいの感じが出ればいいかな」
 くらいの気持ちでした。
 何だったら、かけあいの部分は、1キャラずつ別録りしていけば、収録上の問題も起こらないだろうと。

 

 でも、そんな考えって、第一線で活躍するプロフェッショナルの役者の実力というものを、完全になめた考え方だったのです。

 

 伊藤静さんは、7人の美少女を、7人ぶんきっちり演技プランを作り分けて来られました。しかもそれを、抜き録りなしで、一発通しで演じてみせました。
 すごかった。

 

 CDのラストに、スタッフロールというか、配役のクレジットがあるのですが、これはぜひ皆さんに聴いてもらいたいのです。伊藤静さんの七色の声を。
 びっくりしますよ。このスタッフコールだけで、CDの値段のもとは取れます。


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