こんど発売される『世界めいわく劇場スペシャル+童話シンデレラ』は、既発の3作品、『人魚姫』『マッチ売りの少女』『白雪姫』も再録しています。

 特に『人魚姫』などは最初に出たこともあって、欲しいのに手に入らないという方が多かったので、そういう声にお応えしたかたちです。

 が、すでに3作品をお買い上げの方には、同じものを重複して購入していただくことになるわけで、そういう方々にも楽しんでいただけるように、「おまけドラマ」を録りおろしました。
 『人魚姫』『マッチ売りの少女』『白雪姫』の後日談です。
 いや、後日談というか、「あの本編はプロローグにすぎなかった!」みたいな内容になりました、書いてみたら結果的に。

 以下のような感じ。


・ボーイズラブCDの登場人物になりきって、気持ちよさそうにBLドラマをひとり芝居する人魚姫(声:中村繪里子)。と、それを冷ややかに見つめる魔女(声:今井麻美)。

・マッチ売りの少女Aマチコ(声:清水愛)と、マッチ売りの少女B綾瀬(声:中原麻衣)の、ガチ百合ドラマ。

・お后さまに芋焼酎をしたたか飲ませる白雪姫(声:伊藤静)と、酒を飲まされてべろんべろんの前後不覚に陥るお后さま(声:生天目仁美)。


 自分で聴いて、自分で笑っちゃうくらい面白いのですが、こうして書き出してみると、なんかひどいです......。

(加納新太)

夏コミ委託情報


夏コミ新作「世界めいわく劇場 スペシャル+シンデレラ」が手元にも届きました!
今回はクリアパッケージで作ってみました。
自分で言うのもなんですが、かなりいい出来になっていると思います。


また会場特典として、GUNPさんによるアフレコレポート小冊子がついてきます!


入手方法


コミックマーケット78(頒価 1,800円)
・8/14 Z-32a 「CLIC CLAC」
・8/15 シ-74a 「GUNP」
・8/15 あ-59a 「DO-RAKU7」


書店委託(税込 2,100円)
とらのあな様(特典:アフレコレポート小冊子)
ゲーマーズ様(特典:オリジナルブロマイド)
アニメイト
メロンブックス
Amazon


当日はこんな看板で展示してると思います。



加納新太さんによる裏話コラムも更新しましたので
良かったらごらんくださいー。(´ワ`)

めいわく劇場裏話・ネタ編

 めいわく劇場のシナリオは、ふつうのいわゆるドラマCDっぽくありません。どっちかというと、お笑い芸人さんのコント台本に近いです。

 テレビでは毎日のようにお笑い番組が放送されています。
 そこでは、オードリーさんやナイツさんの、「いったい一分間に何個ボケてツッコむつもりなのか」というような、高速テンポの漫才が、ごくあたりまえに放送されて、ごくあたりまえにみんな見ているわけです。

 そのテンポに慣れた感覚で従来のドラマCDを聴くと、展開が遅すぎて、うずうずすると思うのです。
 いや、普通のドラマCDならそれでもかまわないのですが、これはお笑い系のドラマCDです。
「なんか聴いててじれったいし、お金払って聴くよりも、タダで見られるテレビのほうが面白いじゃん」
 ということになってしまったら、困ります。


 そこで、細かいボケを入れられるだけ入れます。
 とにかく思いついただけ入れて第1稿を作ります。
 そのあとで、「尺の関係もあるし、全体のつながりを考えると入らないネタもあるし」ということで、3割くらいネタをカットして、仕上げます。

 とにかく思いついたものを全部入れる。
 となると、こういうのも入ってきちゃうわけです。
 つまり、「下ネタ」とか「声優本人ネタ」とか......。

 ご本人から「こんなセリフを言わなきゃいけないんですか?」とか、事務所さんから「うちの役者にこんなセリフを言わせる気ですか?」とか、言われたらどうしよう......。
 そういう不安が、いつもあります。
 わりとビクビクです。


 今回もそういうビクビクで収録に臨んだのですが、能登麻美子さんはお会いするなり、

「もう、シナリオはほんっとうに面白くて! 今日はすっごく楽しみにして来ました」

 と言ってくださって、「よっしゃ、やった!」と思いました。
 能登さんに「面白い」と言ってもらえたのは、かなり本気で嬉しかったです。心のICレコーダーに録音して永久保存しました。でもできたら本物のICレコーダーに録音したかった......。

 小林ゆうさんといえば、「豚マニア」で有名。ブタのぬいぐるみに「ミンチさん」という名前をつけてかわいがっておられるとか。
 なので現場でふと思いついて、
「すみません、このセリフのあとに『おまえもメンチカツにしてやろうかぁー』って付け加えてもらえます?」
 と、おそるおそるお願いしてみたら、
「あっ、ありがとうございます、メンチカツ大好きです」
 と、意味を察してくださったうえに、お礼までおっしゃってくださいました。ありがたいことです。

 下ネタについては、今回わりと多いので、「こんなことお願いして、すいません」とおわびをいったら、お二人とも、
「いえいえ、全然いいですよー」
 みたいな感じで、あっさりしたものでしたので、ほっとしました。というわけできわどいセリフがたっぷり入ります。

 このCDは、童話本編のあとに、「おまけドラマ」と銘打って、後日談がつきます。これはキャスティングが決まってから書いたので、役者ご本人ネタが満載です。
 「能登麻美子さんがふと口ずさむ『童謡・赤い靴』」「小林ゆうさんの絵描き歌」「豚ネタ」などが満載ですので、お二方のファンはお楽しみに。

加納新太

めいわく劇場裏話・能登麻美子編


「能登麻美子さんにあの声でののしられたい」

 と、企画プロデューサーのダダさんが急に言ったときには、何事かと思いました。大丈夫か。

「だから能登麻美子さんを呼ぶから、そういうシナリオにしてくれ」と。


 してくれも何も、シナリオはもう出来てますやんか。

 ......と思ったけれど、そのアイデアは面白いと思いました。


「世界めいわく劇場」は、名作童話をだいなしにしてみよう! というのがコンセプトで、シンデレラも、むちゃくちゃな性格のシンデレラです。

 ようは、能登さんが普段めったに演じない感じのキャラなのですね。
 そういうキャラを、能登さんにあえてやってもらうというのは、おもしろい。

 私は、役者さんが決まると、その人に合わせてセリフを調整しますから、そのついでにののしり言葉をいくつか加えておくのは、そんなに難しくない。

 書き加えてみました。
 ほんっとーにろくでもないシンデレラができました。


 そのろくでもないシンデレラを、能登麻美子さんが嬉しそうに演じてくださること! 

 ボケの言い方もツッコミのタイミングも完っ璧なんです。
 凄いぞ、あのはんなりしたふんわりした癒し声の能登麻美子さんはお笑いもできるぞー。


 しかも、「こういう言い方で来るかな?」という想像を裏切ったうえで、それ以上のものが出てくるからなおスゴイ。

 特にすごいと思ったのは、ちょっと可愛いセリフも入れとこうかなと思って、
「ニャー」
 というのを書いておいたら、まったく想像外の「ニャー」が出てきました。能登麻美子さんの「ニャー」。それも相当尋常でない「ニャー」。こんなニャー聴いたことない。これはもう、文章で伝えられないので、聴いてもらうしかないです。ちなみにこの能登キャットは、いつのまにか小林さんが「ボス」という名前をつけてキャラクター化していました。

 もうひとつ。
「おーほほほ、パンがなければ死ねばいいのにー」
 というセリフを書いたら、能登さんは、

「おーほほほ、パンがなければ、死ね!」

 と、気持ちよーく、言い切られました......。

 能登さん......。


(加納新太)

》世界めいわく劇場 スペシャル+シンデレラ
 仕事中にラジオを鳴らしていることが多いのですが、ある日、ものすごい奇声がスピーカーから聞こえてきて、それが小林ゆうさんでした。

 役者としての小林ゆうさんの活躍は、もちろん知っていました。とにかく声に存在感があって、時々本当にはっとするような芝居をされますね。ながら見をしていたテレビのほうに、思わず振り向いてしまう。要するに、注目していたわけなのでした。

 その役者・小林ゆうって、普段の人となりはこういう人なの!? ということを、ラジオ経由で知って非常に驚いたわけです。

 こういう人、というのはつまり、

 ものすごい周波数でめまぐるしく上下するテンション。
 ことあるごとに言及される豚愛好っぷり。
 言語を絶する人外魔境の画力。

 そして、それがラジオ用のキャラクターではなく、どうやらふだんからずーっとこんな感じらしい、という噂を聞くに及んで、いったいその噂は本当なのか、いっぺん直に会って確かめてみたい、という気持ちがありました。

 結論からいうと、本当でした。


 凄いなこの人。
 小林さんはトーク番組などで、「いるだけでその場を小林ゆう空間にしてしまう」パワーがあって、常々すごいなと思っていたわけなんですが......フリートークではなく、シナリオがあって、セリフを用意していてもそれはまったく同じだったのでした。

 打ち合わせ時に、小林さんに、
「あの、アドリブを入れてもよろしいですか?」
 と、あの腰の低い感じで聞かれたので、ええもうどんどん入れてください、とお答えしました。
 これは収録現場で、役者さんからよく訊かれる問い合わせなんです。実際にセリフを喋る側から見ると、しっくりくるようにちょっと変えたいと思うことがあるみたいなんですね。私は、常にセリフ変更やアドリブOKにしています。最終的にお客さんが受け取るのは役者さんたちの芝居なのですから、芝居がしやすく、芝居が良くなるように変えていくのは好ましいことなんです。

 といっても、役者の皆さんは、ポイント的にちょこっとネタを加えたりするくらいのことが多いです。今回もそんな感じだろうと思っていました。

 ところが小林ゆうさんはちょっと違ったわけですね。

 もう、
 嵐のようにアドリブをつっこんできた......。

 台本上に1個ボケがあったら、その前後に3倍くらいアドリブのボケをつっこんでくる......。
 しかも、演じるごとに毎回そのアドリブボケの内容がちがう。

 こんなにネタがポンポン出てくる人見たことない!

 その毎回違う、3倍量になった小林ゆうさんのボケを、能登麻美子さんが全部拾う拾う!

 そのやりとりが、全部おもしろい!

 実のところ、「好きなだけアドリブを入れてください」とは云いつつ、「つまんなかったら、編集で切っちゃおう」みたいな失礼なことも、頭の片隅でちらっと考えていたんです。

 でも、全部おもしろかったので、全部そのままOKでいただきました。「嵐のような小林ゆう」が、全部収録される予定です。

加納新太

》世界めいわく劇場 スペシャル+シンデレラ

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