いつもはっちゃけた文章でおなじみ、GF団の管理人・K(仮称)さんから収録潜入レポートをいただきました。
同じ現場にいたはずなのにどうしてこんなにも視点が違うのかw
一度頭の中を見せてもらいたいものです。
》「白雪姫」収録潜入レポート
》GF団
(前回の続き)
そんなわけで、「世界めいわく劇場」の「めいわく」とは、声優さんにハタめいわくな芝居を要求する、という、ろくでもない意味も、ちょっとだけあったりします。
実は企画段階のシリーズタイトルは「無茶振り童話(仮)」でした。
さあ、今回は、誰にどんなめいわくをこうむっていただこうかな、と考えた結果、伊藤静さんに、7人の小人ならぬ7人の美少女を、ひとりで演じていただくことにしました。
伊藤さんには白雪姫も演じていただきますので、なんと総勢8人のジサクジエーン劇です。
といっても、7人の美少女は、ひとりひとりがそう重要なキャラというわけでもないので、書き手としては、
「大勢の女の子がよってたかっていっぱい喋ってる、くらいの感じが出ればいいかな」
くらいの気持ちでした。
何だったら、かけあいの部分は、1キャラずつ別録りしていけば、収録上の問題も起こらないだろうと。
でも、そんな考えって、第一線で活躍するプロフェッショナルの役者の実力というものを、完全になめた考え方だったのです。
伊藤静さんは、7人の美少女を、7人ぶんきっちり演技プランを作り分けて来られました。しかもそれを、抜き録りなしで、一発通しで演じてみせました。
すごかった。
CDのラストに、スタッフロールというか、配役のクレジットがあるのですが、これはぜひ皆さんに聴いてもらいたいのです。伊藤静さんの七色の声を。
びっくりしますよ。このスタッフコールだけで、CDの値段のもとは取れます。
シナリオ担当の加納です。
シナリオ担当とはどういう仕事かというと、役者陣に読んでもらう台本を書き、ユーザーの皆さんから、「こんなバカなこと書くライターはよっぽどバカだろ」と思われたり、実際に言われたりし、
「そのバカ部分はプロデューサーがどうしても入れろと言った部分なのに......」
と釈然としない気分になる、そういう仕事のことです。
さて、前のエントリで、そのプロデューサーことダダPが言っていましたが、今回の「白雪姫」、場合によっては「ヘンゼルとグレーテル」になる可能性がありました。
白雪姫にするか、ヘンゼルとグレーテルにするか、さんざん迷ったあげく、とうとう打ち合わせでは決めることができずに、
「とにかく両方のアイデアで書き始めてみて、うまく書けたほうを採用しよう」
とかいって、結局加納に一任されたんじゃなかったかな?
どうして、「ヘンゼルとグレーテル」ではうまくいかなかったかというと、それは、
「声優2人だけで全部を演じる」
という、シリーズ全体の縛りのためでした。
白雪姫みたいに、ドワーフが7人出てくるお話も、2人でやる。マッチ売りの少女みたいに、マッチ売りの少女しか出てこないお話も、2人でやる。
「ヘンゼルとグレーテル」に登場するのは、ヘンゼル、グレーテル、魔女の3人。
この人数が、中途半端だったのですね。
声優2人で、3人の役を分け合うとなると、どっちかが1役を担当し、どっちかが1人2役。
1人2役の組み合わせは、「ヘンゼル&グレーテル」か「グレーテル&魔女」か「ヘンゼル&魔女」。
どの組み合わせでも、いまひとつ、おもしろみにつながらない感じがしたのです。
どうせ、1人2役をやってもらうなら、そのこと自体がネタになっててほしい。
人数的にムリな物語を、ムリヤリ2人だけで演じる、というのが基本的な企画趣旨なのです。だったら、あからさまにムリな配役にしたほうがいい。
たとえば、7人のドワーフを、全部ひとりの人に演じてもらうとか。
今回、1人9役を演じることになった伊藤静さんは、台本を受け取って中身を見たとき、
「え? これ何かの間違いですよね?」
と言ったそうです。
何かの間違いのようなシナリオを演じてくださって、ありがとうございましたぁー。