テレビでは毎日のようにお笑い番組が放送されています。
そこでは、オードリーさんやナイツさんの、「いったい一分間に何個ボケてツッコむつもりなのか」というような、高速テンポの漫才が、ごくあたりまえに放送されて、ごくあたりまえにみんな見ているわけです。
そのテンポに慣れた感覚で従来のドラマCDを聴くと、展開が遅すぎて、うずうずすると思うのです。
いや、普通のドラマCDならそれでもかまわないのですが、これはお笑い系のドラマCDです。
「なんか聴いててじれったいし、お金払って聴くよりも、タダで見られるテレビのほうが面白いじゃん」
ということになってしまったら、困ります。
そこで、細かいボケを入れられるだけ入れます。
とにかく思いついただけ入れて第1稿を作ります。
そのあとで、「尺の関係もあるし、全体のつながりを考えると入らないネタもあるし」ということで、3割くらいネタをカットして、仕上げます。
とにかく思いついたものを全部入れる。
となると、こういうのも入ってきちゃうわけです。
つまり、「下ネタ」とか「声優本人ネタ」とか......。
ご本人から「こんなセリフを言わなきゃいけないんですか?」とか、事務所さんから「うちの役者にこんなセリフを言わせる気ですか?」とか、言われたらどうしよう......。
そういう不安が、いつもあります。
わりとビクビクです。
今回もそういうビクビクで収録に臨んだのですが、能登麻美子さんはお会いするなり、
「もう、シナリオはほんっとうに面白くて! 今日はすっごく楽しみにして来ました」
と言ってくださって、「よっしゃ、やった!」と思いました。
能登さんに「面白い」と言ってもらえたのは、かなり本気で嬉しかったです。心のICレコーダーに録音して永久保存しました。でもできたら本物のICレコーダーに録音したかった......。
小林ゆうさんといえば、「豚マニア」で有名。ブタのぬいぐるみに「ミンチさん」という名前をつけてかわいがっておられるとか。
なので現場でふと思いついて、
「すみません、このセリフのあとに『おまえもメンチカツにしてやろうかぁー』って付け加えてもらえます?」
と、おそるおそるお願いしてみたら、
「あっ、ありがとうございます、メンチカツ大好きです」
と、意味を察してくださったうえに、お礼までおっしゃってくださいました。ありがたいことです。
下ネタについては、今回わりと多いので、「こんなことお願いして、すいません」とおわびをいったら、お二人とも、
「いえいえ、全然いいですよー」
みたいな感じで、あっさりしたものでしたので、ほっとしました。というわけできわどいセリフがたっぷり入ります。
このCDは、童話本編のあとに、「おまけドラマ」と銘打って、後日談がつきます。これはキャスティングが決まってから書いたので、役者ご本人ネタが満載です。
「能登麻美子さんがふと口ずさむ『童謡・赤い靴』」「小林ゆうさんの絵描き歌」「豚ネタ」などが満載ですので、お二方のファンはお楽しみに。
加納新太